■具体的事例

ここで紹介する具体的事例は、高次脳機能障害の判例の中でも特徴的な事例をピックアップしました。
参考にして頂ければ幸いです。なお、実務上、大きな争点となる事故態様(=過失割合)については、
話が複雑になるため、ここでは触れていません。

具体例1
50歳代の主婦が大型自動二輪車に衝突されて、脳挫傷等を負った事例です。
(後遺症等級1級3号が認定され、損害総額1億2127万3579円が認められました。)

50歳代の主婦につき、食事・排泄障害により半介助、入浴は全介助状態となり、記憶力や判断力が低下して性格も一変したため、後遺障害1級3号と認定した上で、将来の介護料として日額1万円を認めた事例です。(横浜地裁平成14年9月25日判決)

この事例では、食事や排泄について半介助が必要であること、入浴に至っては全介助が必要な上、記憶力や判断力が低下し、性格も一変し凶暴性が生じたため、1級3号の高次脳機能障害と認定されました。

本件で認められた損害は、治療費、入院雑費などの実費のほか、入院から症状固定まで370日につき、家族の付添費として日額7000円が認められました。また、家屋改装費用(浴室、トイレの改造やスロープ工事費用)も認められています。

休業損害については、専業主婦であることから、年収345万3500円として症状固定日までの370日分350万808円が認められました。入通院慰謝料については、270万円が、後遺障害慰謝料については2800万円が認められています。

将来発生しうる費用については、逸失利益として3418万4815円が認められ、また、将来の雑費(リハビリパンツやガソリン代)、将来の介護ベッド代や車椅子買換え費用等も認められています。さらに、家族による将来の介護費用として、平均余命までの28年間日額1万円、合計5437万8065円の介護費用が認められました。

具体例2
19歳女子が自転車で横断歩道横断中、
タクシーに衝突され、びまん性軸索損傷等を負った事例です。
(後遺症等級5級2号が認定され、損害総額9849万8623円が認められました。)

19歳女子につき、事故後2週間にわたり意識が戻らない状態が続き、びまん性軸索損傷等により記憶力低下・易怒性等を生じたものであり、後遺障害等級5級2号が認定されました。

裁判所は、余命分日額2000円の将来介護料を認め、さらに両親固有の慰謝料は認めなかったものの「その心痛はかなり大きい」として、慰謝料を200万円増額した事例(横浜地裁平成19年3月29日判決)です。本件では入院期間が132日また症状固定まで約2年を要しており、治療費・入院雑費のほかに、その間の親族の付き添い費として136万5000円が認められています。

入通院の慰謝料は、320万円、後遺障害慰謝料として1400万円が認められました。さらに、被害者両親の心痛につきその程度はかなり大きいとして、両親固有の損害自体は認めなかったものの、上記慰謝料に加えて200万円をその他の慰謝料として増額しています。休業損害については、当時被害者が大学生だったため認められず、逸失利益については、大学卒業予定の年から67歳まで、基礎収入を産業計全労働者平均賃金として合計6177万6539円と認定しています。

さらに、被害者の等級自体は5級2号であり日常生活動作は一応可能としながらも、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、判断力低下、対人技能拙劣等が見られることを考慮し、随時看視及び声かけが必要として、平均余命まで1日当たり2000円、合計1377万9261円の将来介護費を認めました。

従来は、高次脳機能障害の後遺症等級が5級の場合、将来の介護費が認められるケースはまれでしたが、本判決は、具体的事情に即して将来介護費を日額2000円認めており、画期的な判決といえます。


交通事故の慰謝料請求・後遺症認定 あかつき総合法律事務所

大阪市北区梅田1丁目11-4 大阪駅前第4ビル10階1005号室

コンテンツメニュー

  • トップページ
  • プロフィール
  • 高次脳機能障害
  • 高次脳機能障害のQ&A
  • 高次脳機能障害の慰謝料の事例
  • 死亡事故
  • ご相談の流れ
  • お客様の声
  • 弁護士費用について
運営情報個人情報保護方針相互リンク集
Copyright (C) 2011 交通事故の慰謝料請求・後遺症認定 あかつき総合法律事務所. All Rights Reserved.